老人ホームへの入居が決まると、荷物の準備に目が向きがちですが、それだけではありません。
自宅をどうするか、電気や水道などの契約をどうするか、通帳や重要書類をどこで管理するかなど、入居後の生活を考えた準備も必要です。
特に一人暮らしや身寄りのない方は、施設に入った後に「自宅を誰が管理するのか」という問題が生じることがあります。
この記事では、老人ホーム入居前に確認しておきたいことを、5つに分けて分かりやすく解説します。
老人ホーム入居前に確認したいこと
入居前に整理しておきたい生活のこと
老人ホームへの入居が決まると、「何を施設に持っていくか」という荷物の準備から始める方が多いでしょう。しかし、入居前に考えておきたいのは、荷物だけではありません。
例えば、自宅の電気や水道をどうするのか、固定電話やインターネットをどうするのか、郵便物をどこで受け取るのか、自宅の鍵を誰が管理するのかなど、さまざまな問題があります。
特に一人暮らしの高齢者の場合、老人ホームへ移った後、自宅が空き家のような状態になることがあります。
そのため、入居前に「持っていく物」だけでなく、**「残す物」「処分する物」「解約する契約」「誰かに管理してもらうこと」**まで整理しておくことが大切です。
老人ホームへの入居を、単なる引っ越しではなく、これからの生活を見直す機会として考えてみましょう。
「入居した後」を考えて準備する
老人ホームに入居した時点ですべての問題が解決するわけではありません。むしろ、入居した後に自宅や財産の管理について考えなければならないことがあります。
例えば、自宅に郵便物が届く、庭の手入れが必要になる、家電や水道などの確認が必要になる、家財を処分する必要が出てくるといったことです。
また、本人が元気なうちは自分でできていた銀行や保険などの手続きも、病気や身体の状態の変化によって、難しくなる可能性があります。
特に一人暮らしの方は、**「老人ホームに入った後、誰に何を頼むのか」**をあらかじめ考えておくことが重要です。
家族が近くにいる場合は役割分担を決めておき、家族に頼ることが難しい場合は、必要な事務を第三者に依頼する方法についても検討しておくと安心です。
自宅と家財道具を整理する
持っていく物・残す物・処分する物を分ける
長年暮らしてきた自宅には、家具、家電、衣類、写真、思い出の品など、たくさんの物があります。老人ホームの居室には持ち込める物の量に限りがあるため、入居前から整理しておくとよいでしょう。
まずは、
①老人ホームへ持っていく物
②自宅に残す物
③家族や知人に渡す物
④処分する物
の4つに分けて考えると整理しやすくなります。
ただし、家財の中には、本人が大切にしている物だけでなく、預貯金や保険、不動産などに関する重要書類が含まれている場合があります。
そのため、処分を急ぐのはおすすめできません。
特に一人暮らしの方の場合、入居後に本人が自宅へ戻ることが難しくなる可能性もあります。
「何を捨てるか」より先に、「残しておくべき物は何か」を確認すること。
これが自宅整理の大切なポイントです。
重要書類や貴重品を先に確認する
自宅を整理するときには、家具や衣類よりも先に、重要書類や貴重品を確認しましょう。
例えば、預貯金の通帳、生命保険の保険証券、不動産関係の書類、年金関係の通知、遺言書、印鑑、権利証・登記識別情報、契約書などです。
これらを知らずに処分してしまうと、後になって必要になった際に確認が難しくなることがあります。
また、「どこの銀行に口座があるのか」「どの保険に加入しているのか」といった情報も整理しておくと、本人だけでなく、将来手続きをする人にとっても分かりやすくなります。
自宅を売却したり、将来的に相続する予定がある場合には、家財の処分について家族や関係者と相談しておくことも大切です。
老人ホームへ持っていかない物=不要な物ではありません。
処分する前に、一度「重要な物が含まれていないか」を確認しましょう。
自宅の契約や毎月の支払いを整理する
電気・水道・電話などの契約を確認する
老人ホームへの入居に伴い、自宅で利用していたサービスについても見直す必要があります。
例えば、電気、ガス、水道、固定電話、インターネット、新聞、ケーブルテレビなどです。
自宅を完全に退去する場合は、不要になった契約を解約することが考えられます。
一方で、自宅を売却する予定がある場合や、家族が管理する場合には、電気や水道などを一定期間残しておく必要があることもあります。
そのため、「老人ホームに入るから全部解約する」ではなく、「入居後の自宅をどうするか」を先に決めることが重要です。
また、固定電話を解約する場合には、電話番号を長年使っている家族や知人に知らせておくなど、周囲への連絡も必要になることがあります。
入居前に現在の契約を一つずつ確認し、「継続するもの」「解約するもの」「誰かに管理してもらうもの」に分けておくと、手続きが進めやすくなります。
定期購入や自動引き落としにも注意する
老人ホームへの入居を機に、毎月の支出も一度確認してみましょう。
特に見落としやすいのが、定期購入や月額サービスです。
健康食品、新聞、インターネット、動画サービス、通信サービスなど、本人があまり意識しないまま毎月料金が発生しているものもあります。
こうした契約は、銀行口座やクレジットカードの明細を確認すると見つけやすくなります。
また、公共料金や保険料など、入居後も必要な支払いがある一方、不要になる支払いもあります。
入居後の生活費と施設費を把握するためにも、毎月どのような支払いがあるのか、一度一覧にしておくとよいでしょう。
ただし、契約の解約には本人による手続きが必要となる場合があります。
「解約する契約を見つけること」と「実際に解約手続きを行うこと」は別の問題です。
自分で手続きすることが難しくなっている場合には、誰がどのように対応するのかも、早めに考えておきましょう。
通帳・保険・重要書類を整理する
財産や契約を一覧にしておく
老人ホームへ入居する前に、財産や契約について一覧を作っておくと、今後の生活を考えるうえで役立ちます。
例えば、
・銀行口座
・ゆうちょ銀行の口座
・生命保険
・証券口座
・不動産
・年金
・クレジットカード
・借入金
・毎月の支払い
・その他の契約
などです。
「通帳はあるけれど、本人以外はどこの銀行なのか分からない」という状態になってしまうと、将来、必要な手続きを行う際に困ることがあります。
老人ホームの費用、医療費、介護費用など、入居後にもさまざまな支払いが続きます。
そのため、元気なうちに**「どこに、どのような財産があり、毎月何にお金を使っているのか」**を整理しておきましょう。
財産の一覧は、財産を誰かに預けるためのものではありません。まずは本人自身が、自分の生活や将来について考えるための資料として整理しておくことが大切です。
自分で手続きできなくなった場合に備える
財産を一覧にしただけでは、本人に代わって第三者が銀行手続きなどを自由にできるわけではありません。
ここは、老人ホームへの入居を考える際に注意したいポイントです。
例えば、今は自分で銀行へ行ったり、契約を変更したりできていても、将来、病気や認知症などによって判断や手続きが難しくなることがあります。
そのような場合に備えて、事務委任契約や任意後見制度など、本人の状況に応じた仕組みを検討することができます。
事務委任契約は、本人が判断できる段階で、一定の事務を他の人に依頼する方法です。一方、任意後見制度は、将来、判断能力が低下した場合に備え、あらかじめ任意後見人を決めておく制度です。
どの方法が適しているかは、本人の希望や家族関係、財産の状況、現在必要な支援によって変わります。
**「自分でできなくなったとき、誰に何を頼むのか」**を元気なうちに考えておくことが大切です。
老人ホーム入居後の自宅管理を考える
「誰が自宅を管理するのか」を決めておく
老人ホームへ入居した後、自宅をそのまま残すのであれば、自宅の管理について考えておく必要があります。
例えば、郵便物の確認、換気、建物の点検、庭の手入れ、不用品の整理、近隣からの連絡への対応などです。
特に一人暮らしの方は、これまで本人が行っていたことを、入居後は誰かが行う必要があります。
家族が管理する場合には、誰が鍵を持つのか、郵便物を誰が確認するのか、どの程度の頻度で自宅を確認するのかなど、具体的に決めておくとよいでしょう。
また、自宅を売却する、賃貸にする、将来相続するなど、今後の方針によって必要な対応も変わります。
家族に頼ることが難しい場合には、必要な事務を第三者に依頼する方法を検討することもできます。
老人ホームへの入居は、これまでの生活が終わることではありません。
「施設に入った後の自分の生活をどうするのか」だけでなく、「残した自宅や契約をどうするのか」まで考えておくことが、一人暮らしの高齢者にとって大切な入居準備です。
まとめ|老人ホーム入居前に「その後の生活」まで考える
老人ホームへの入居が決まったら、荷物をまとめるだけではなく、自宅・家財・契約・財産・入居後の管理まで整理しておきましょう。
特に一人暮らしの方は、
- 自宅をどうするか
- 家財を何を残して何を処分するか
- 不要な契約をどうするか
- 財産や重要書類をどこで管理するか
- 入居後の自宅を誰が管理するか
- 将来、自分で手続きできなくなったら誰に頼むか
を、元気なうちに考えておくことが大切です。
老人ホームへの入居は、単なる「引っ越し」ではなく、これからの暮らし方を見直す機会でもあります。
松本市で老人ホームへの入居や一人暮らしの今後についてお悩みの方は、すべてを一度に決める必要はありません。まずは現在の生活で困っていることや、将来不安に感じていることを書き出してみましょう。
かんき行政書士事務所では、相続・遺言だけでなく、一人暮らしの高齢者の入院、老人ホームへの入居、身元保証、事務委任、将来の手続きなど、「ひとり暮らしのこれから」に関するご相談をお受けしています。
「家族に頼みにくい」「施設に入った後の自宅が心配」「将来自分で手続きできなくなったらどうすればいいか分からない」という方も、まずは現在の状況を整理することからご相談ください。
